この記事では『特例子会社のメリットやデメリット』について紹介する。

「検索しても思い通りの情報にアクセスできない!」こんな煩わしさを思い知ったことはないだろうか?

今回は、身体障害者手帳1級を持つ僕自身が特例子会社について理解しづらいポイントをわかりやすく紹介する。

更には、実際に特例子会社に勤務している友人に話を聞くことができたので、そちらも紹介したいと思う。

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特例子会社とは

特例子会社とは、障害者の雇用促進や就労安定を目的として作られた会社のことだ

基本的には親企業(株主企業)があり、そこの子会社として存在しているのが特例子会社だ。

目的の部分(障害者の雇用促進・就労安定)が一般的な子会社とは大きく異なる点だろう。

当然、特例子会社で働く就労者の割合は、障害者が圧倒的に多い。

ここで少し疑問なのが、なぜ「特例」でなければならないのだろうか。
普通の子会社ではダメなのか。そのあたりを詳しく確認していきたい。

「特例」である理由は法定雇用率との関係性

結論から言うと親会社にとっては普通の子会社ではダメだ

何故ならば、特例子会社でなければ法定雇用率の算出基準に該当しないからだ。

ここで少し、法定雇用率について触れよう。

法定雇用率とは

法定雇用率とは、従業員を100人以上抱えた企業が従業員50人につき最低x%の障害者を雇わなければならないという制度のことだ

詳しくは、下の図を確認して欲しい。

このように、一般企業の場合は従業員50人以上に対して2.2%、地方公共団体の場合は2.5%、都道府県の教育委員会の場合は2.4%の障害者を雇う義務があるのだ。

もし従業員が50人以上いるにも関わらず、規定値の障害者を雇用していない場合には、国から罰金が課されることになる。

一方で法定雇用率を上回って障害者を雇用している場合には、納付金が企業に支払われる仕組みだ。

このような制度の下で障害者の雇用が守られているのだ。

そして特例子会社で障害者を雇うことによって、親会社の法定雇用率が満たされるようになるため、親会社にとっては普通の子会社ではなく、「特例」子会社であることが重要なのだ

※法定雇用率についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事(『障害者を雇用する義務、法定雇用率とは?』)を参考にして欲しい。

特例子会社の制度ができた経緯

特例子会社ができた経緯はいくつかあるが、最も大きな要因はやはりサポート体制の充実によるところが大きいだろう。

この制度ができる以前の障害者雇用課題として「バリアフリーが備わっていない。障害者を受け入れる体制にない」という理由で、多くの企業が法定雇用率を満たせていなかった。

そんな課題を解決するために、バリアフリーを整備し、障害者を受け入れる体制を整えたのが特例子会社だ。

特例子会社と障害者雇用との違い

さて、あなたは障害者雇用という言葉を聞いたことがあるだろうか。

障害者雇用とは、障害を持つ人が能力や特性に応じて働くことができるようにサポートする制度のことだ。

ここまで聞くと特例子会社の説明とそんなに変わらないのでは?と思われるかもしれないが、もちろん異なる制度だ。

それでは、特例子会社と障害者雇用との違いを見ていこう。

一般企業で働く場合もある

障害者雇用枠での就職の場合には、特例子会社で働くか一般企業で働くかを選ぶことができる

その中で、自分のやりたいことが特例子会社で叶うのであれば、そこを選んで就職すれば良いし、そうでなければ一般企業への就職を目指すべきだ。

もし一般企業での就職を選ぶのであれば、周りで働く人が健常者である可能性も低くないことによって、障害を配慮して貰えない場合もあることは念頭に置いておきたい。

※ 障害者雇用枠を利用して一般企業で就労している人の仕事内容について知りたい方はこちらの記事(『障害者雇用とは?メリットやデメリットを紹介』)を確認して欲しい。

特例子会社で働くメリットは?【体験談】

さて、ここまで特例子会社についていくつか確認してきた。

この章では、特例子会社で働くメリットというメイントピックに触れたい。

実は、このトピックを執筆するにあたって東京の特例子会社で働いている友人にヒアリングした。

彼のプロフィールを下の図で紹介しているのでぜひ確認して貰いたい。

周りからの理解を得やすい

:「特例子会社で働いていて心地よいことある?」

友人:「そうだねー。周りから理解を得やすいことが一番良いことかな。俺の場合は特例子会社で働く前から車椅子での移動に少しコンプレックスみたいなものがあったからね。それが、今の会社だと車椅子の人も結構いるから、わざわざ説明する必要もないし、むしろ言葉にしなくてもわかってる。みたいなのが楽だね。」

:「なるほどね。僕もそれは共感できる。僕の場合は内部機能障害で、他人からは健常者として認識されることが多い。そうすると周りからの理解を得るためにはどうしても説明したくないことも説明しなければいけないことがある。けど、同じような障害や病気を持った人が周りに多かったらその必要はないよね。同じような境遇を体験してるってわかると、言葉にしなくてもなんとなくわかるっていうか。そういう感覚ってあるよね。笑」

貢献していることを実感できる

僕:「他にはなにかある?」

友人:「そうだねー。俺の場合は親会社が結構大きい会社で、関わってるサービスもユーザー数が多いから、その分社会的貢献みたいなものは感じるかもね。ぶっちゃけ学歴もそんなに良い方じゃないから、障害者雇用枠じゃなかったらこんなに大きい会社やサービスには携われてないと思うからね。それは大きい会社の特例子会社で働くことのメリットだと思うかな。」

僕:「そっかー。なるほどね。確かに特例子会社を設立してる会社って大手企業が多いもんね。それだけサービスも大きいってことだよね。ちなみにさー、特例子会社で働いてて、デメリットってなんかあったりするの?嫌なことだったりとかさ。」

特例子会社で働くデメリットは?【体験談】

友人:「あーあるある。まぁどの会社でもあるのかもしれないけど、感じることはあるね。」

特例子会社は給料・年収が安い

僕:「例えばどんな?」

友人:「給料が安いことかなー。笑」「それに、あんまり多分昇給とかもないんだよね。そうなるとそんなに給料があがる気もしてなくてしんどいなーって。実家暮らしだったら大丈夫なのかもしれないけど、東京で1人暮らしだから家賃も高いしね。」

僕:「給料が安い問題はみんな結構言ってるよね。そうねー。実家じゃない人からは3倍くらい給料に関しての不満聞くよね。笑」「しかもさ、就労移行支援所とか就労継続支援A型事業所について調べたことがあってさ、実際に見学行ったりとか、仲良くなったりした人もいたんだけど、そこに通う人たちはもっと金銭的に苦しい。そのあたりは業界的な課題かもね。」

※こちらの記事(『特例子会社の問題点や課題を考えてみた』)で特例子会社の問題点を紹介している。ぜひ確認して欲しい。

特例子会社の給料は本当に安いのか

さて、給料が安いというデメリットが出てきたが、実際に本当に安いのかを調べてみたので、確認してほしい。(※参考:1

特例子会社

平均年収 割合
150万以下 25.3%
150万〜300万 60.3%
300万〜400万 11.9%

調べていく中で上記のような結果が浮かび上がってきた。

実際に日本人の平均年収が408万円であることを踏まえると、実際に給料や年収はかなり低いと言えるだろう。

特例子会社の給料に関してはこちらの記事(『特例子会社の給料が安いって本当?』)で詳しく解説してるので、確認して欲しい。

特例子会社の求人情報一覧

さて、ここまで特例子会社のメリットやデメリットを軸にあらゆる情報をインプットして頂いたと思う。

最後に実際どんな企業が特例子会社を設立しているのか。求人にどんな特徴があるのかを確認していきたい。

リクルート(ROS)

リクルートでは、ROS(リクルート・オフィス・サポート)という会社を特例子会社化している。

リクルートグループ各社に、「正確」で「迅速」な事務力を提供するという理念の下で業務活動がおこなわれている。

主な業務としては、リクルートグループのバックオフィスを支えるというイメージを持って頂いて結構だろう。

ROSに関しては、実は僕自身見学に行ったことがある。その際にとても良い印象を受けた。

詳しい求人詳細や業務内容に関してはこちらのページから確認して貰いたい。

トヨタ(トヨタループス)

トヨタではトヨタループスという会社を特例子会社化している。

主な業務内容は社内印刷や社内郵便物の受発信などの業務をトヨタからの受託業務としておこなっている。

詳しい求人詳細はこちらのページから確認して貰いたい。

イオン(イオンリテール)

イオンではイオンリテールという会社を特例子会社化している。

それぞれの障害特性に応じて仕事を切り分けているのがイオンリテールの特徴だろう。

障害特性と仕事内容については、以下の表を確認して欲しい。

仕事 仕事内容
聴覚障害 クオリティーキーパー 食品の品質管理部門。「安心・安全」である商品をご提供出来るようチェックをおこなう仕事
心臓障害 後方事務 お店で働く人の人事総務関係の調整をする仕事
腎臓障害 グリーター お店の入口で待機し店内のご案内をしたり、身体の不自由な方には、車イスを用意したりする仕事
体幹障害 商品管理 荷受された商品の検収し、パソコンで管理する仕事
精神障害 カート回収 店内や駐車場でカートを回収し整理する仕事
知的障害 グロッサリー お米や調味料、お菓子類や飲料等の商品陳列や、商品の補充をする仕事
視覚障害 会計 売上の管理や、レジのつり銭を用意する仕事
下肢障害 薬剤師 クリニックから出された処方箋をもとに調剤する仕事
上肢障害 販売促進 店内POPの作成や、広告チラシの作成をする仕事

詳しい求人詳細や業務内容に関してはこちらのページから確認して貰いたい。

※ 特例子会社への就職・転職を目指す人はこちらの記事(『特例子会社へ就職・転職する際に選ぶべき求人サイトの条件とは』)をぜひ確認して欲しい。

まとめ

いかがだっただろうか。
今回は、特例子会社についてあらゆる観点から記事を執筆させて頂いた。

実際に特例子会社に就職している友人の話を直接聞けたことで、記事に読み応えが生まれたのではないかと思う。

この記事があなたの行動における何かしらの参考になったのなら僕は嬉しい。

今後とも身体障害者手帳を持つ障害当事者として、あらゆるトピックで記事の執筆を試みたい。

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・参考リスト

参考1: Sana Topic 『特例子会社で働く障害者の多彩な職業

ABOUT ME
渡邉まさる
先天性内部機能障害 / 身体障害者手帳1級所持 / うつ病の闘病経験 / 青山学院大学在学中にRepeL, Inc.を創業 / 個人ブログはこちら

 

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