この記事では『障害年金の等級ごとの受給額と認定基準』について紹介する。
「検索しても思い通りの情報にアクセスできない!」こんな煩わしさを思い知ったことはないだろうか?
今回は、身体障害者手帳1級を持つ僕自身が障害年金の認定基準と等級表について理解しづらいポイントをわかりやすく紹介する。
この後のトピックを見ると、『障害年金の等級ごとの受給額と認定基準』についての疑問や課題が解決しているはずだ。
障害等級とは
障害等級とは、障害年金が支給される障害を持っている場合に給付金の額を決めるための指標だ。
障害年金の等級は、身体障害者手帳の交付基準とは全く別の基準なので、注意しよう。
等級は1級・2級・3級から成っており、障害等級によって障害年金が給付される額が異なる。
さらに、障害基礎年金の場合には障害等級1級、あるいは2級でなければ給付を受けることができない。
障害等級は、障害年金の額だけでは無く、給付資格にも関わってくるのだ。
ここで、障害基礎年金という言葉が出てきた。
そのあたりを次の章で少し説明を加えたい。
障害年金とは
障害年金とは病気や怪我で生活や仕事が著しく制限される場合に受け取ることができる公的な年金のことだ。
一般的に年金というと65歳以上の方が受給できる「老齢年金」を想像するだろう。しかしながら、20歳以上であれば受給できる年金が障害年金なのだ。
障害年金に身体障害者手帳の有無が関係ないことも覚えておこう。
さらに、障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2つがある。
詳しく見ていこう。
障害基礎年金とは
障害基礎年金とは、自身の病気について初めて診療を受けた日(初診日)に国民年金に加入している方が受給できる障害年金のことだ。
国民年金に加入する前(20歳以前)に初診を受けた方でも、病気や障害が継続していれば、障害基礎年金に加入することができる。
障害基礎年金の申請方法などは、下記の参考記事を確認して欲しい。
障害厚生年金とは
障害厚生年金とは、自身の病気について初めて診療を受けた日(初診日)に厚生年金に加入している方が受給できる障害年金のことだ。
障害厚生年金は障害基礎年金と比べて受給しやすい障害年金になる。
障害基礎年金にプラスされるようなものと考えれば良いだろう。
障害年金についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ下記参考記事を確認して欲しい。
障害年金の認定基準や等級表を確認
さて、障害等級や障害年金については確認して頂けただろう。
この章では障害等級によって、障害年金の支給がどのように変化するのかを確認していきたい。
障害年金 等級1級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状によって、日常生活ができない程度の人が障害等級1級に当たる。
番号 | 障害の状態 |
1号 | 両眼の視力の和が0.04以下のもの |
2号 | 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの |
3号 | 両上肢の機能に著しい障害を有するもの |
4号 | 両上肢のすべての指を欠くもの |
5号 | 両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの |
6号 | 両下肢の機能に著しい障害を有するもの |
7号 | 両下肢を足関節以上で欠くもの |
8号 | 体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの |
9号 | 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が前各号と同程度以上と認められる状態であって日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
10号 | 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの |
11号 | 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの |
障害年金 等級2級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の人が障害等級2級に当たる。
番号 | 障害の状態 |
1号 | 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの |
2号 | 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの |
3号 | 平衡機能に著しい障害を有するもの |
4号 | そしゃくの機能を欠くもの |
5号 | 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの |
6号 | 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの |
7号 | 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの |
8号 | 1上肢の機能に著しい障害を有するもの |
9号 | 1上肢のすべての指を欠くもの |
10号 | 1上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの |
11号 | 両下肢のすべての指を欠くもの |
12号 | 1下肢の機能に著しい障害を有するもの |
13号 | 1下肢を足関節以上で欠くもの |
14号 | 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの |
15号 | 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする症状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は、日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
16号 | 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの |
17号 | 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの |
障害年金 等級3級
労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。 また、傷病が治癒していない場合は労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の人が障害等級3級に当たる。
番号 | 障害の状態 |
1号 | 両眼の視力が0.1以下に減じたもの |
2号 | 両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの |
3号 | そしゃく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの |
4号 | 脊柱の機能に著しい障害を残すもの |
5号 | 1上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの |
6号 | 1下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの |
7号 | 長管状骨(上腕、前腕、大腿、下腿の管状の骨)に疑関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの |
8号 | 1上肢のおや指及びひとさし指を失ったもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ、1上肢の3指以上を失ったもの |
9号 | おや指及びひとさし指を併せ1上肢の4指の用を廃したもの |
10号 | 1下肢をリスフラン関節(足趾の一番付け根、土踏まずの前方)以上で失ったもの |
11号 | 両下肢の十趾の用を廃したもの |
12号 | 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
13号 | 精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
14号 | 障害が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって、厚生大臣が定めるもの |
障害手当金
障害厚生年金では障害等級の3級よりも軽い障害が残った場合に、一時金として障害手当金が支給される。
傷病が治癒したものであって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の人が障害手当金を貰うことが可能だ。
番号 | 障害の状態 |
1号 | 両眼の視力が0.6以下に減じたもの |
2号 | 1眼の視力が0.1以下に減じたもの |
3号 | 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
4号 | 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの |
5号 | 両眼の調節機能及び輻輳(ふくそう)機能に著しい障害を残すもの |
6号 | 1耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの |
7号 | そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの |
8号 | 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの |
9号 | 脊柱の機能に障害を残すもの |
10号 | 1上肢の3大関節のうち、2関節に著しい機能障害を残すもの |
11号 | 1下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの |
12号 | 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの |
13号 | 長管状骨(上腕、前腕、大腿、下腿の管状の骨)に著しい転移変形を残すもの |
14号 | 1上肢の2指以上を失ったもの |
15号 | 1上肢のひとさし指を失ったもの |
16号 | 1上肢の3指以上の用を廃したもの |
17号 | ひとさし指を併せ1上肢の2指の用を廃したもの |
18号 | 1上肢のおや指の用を廃したもの |
19号 | 1下肢の第1趾又は他の4趾以上を失ったもの |
20号 | 1下肢の5趾の用を廃したもの |
21号 | 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
22号 | 精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
障害年金で支給される金額を確認
さて、障害年金の等級について確認した。
これで、自分がどの等級に当たるかをご理解頂けたかと思う。
この章では、実際に障害年金で給付される金額を確認したい。
障害基礎年金
障害基礎年金は定額で、1級と2級の金額の違いは下記の表をみてほしい。
等級 | 支給額(年) | 子が1人 | 子が2人 | 子が3人 |
1級 | 97万4125円 | 119万8425円 | 142万2725円 | 149万7525円 |
2級 | 77万9300円 | 100万3600円 | 122万7900円 | 130万2700円 |
障害厚生年金
障害厚生年金は厚生年金に加入していた長さと納めた保険料などで金額は変わってくる。
障害手当については、障害年金3級の2年分が支給される。
等級 | 支給額 |
1級 | 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級(年間97万4125円) |
2級 | 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級(年間77万9300円) |
3級 | 報酬比例の年金額(最低保障額 年間58万4500円) |
障害手当金 | 報酬比例の年金額の2年分(最低保障額 116万9000円) |
障害年金3級と障害手当金について
さて、障害年金について理解したところで、障害基礎年金と障害厚生年金の大きな違いをまとめたので、もう一度確認しよう。
障害年金3級
障害基礎年金と障害厚生年金の大きな違いの一つに、障害年金3級で受給できるかできないかがある。
障害年金3級は、障害厚生年金にのみ設けられてるものなので、障害基礎年金には障害年金3級が無いので覚えておこう。
障害手当金
障害基礎年金と障害厚生年金のもう一つの大きな違いで、障害手当金が支給されるかされないかがある。
これまでのトピックでも紹介しているので、詳しい説明は省略するが、障害年金の等級が3級よりも軽い障害が残った場合に、一時金として障害手当金が支給されるものだ。
障害手当金についても、障害厚生年金にのみ設けられているものなので、障害基礎年金には無いので覚えておこう。
障害年金の申請方法
さて、障害年金の支給金額が確認できたところで、最後に障害年金の申請方法を確認しよう。
障害年金の申請はどこでおこなうのか
障害年金の申請場所 | |
障害基礎年金 | お住まいの市区町村窓口、または年金事務所 |
障害厚生年金 | 年金事務所 |
障害年金の受給資格があるかどうかの判断期間として3ヶ月ほど時間がかかるので、注意が必要だ。
障害年金の申請に必要な書類
障害基礎年金
障害基礎年金の申請に必要な書類は10個ある。
1.障害年金請求書(地方自治体の役場、または年金事務所、年金総合センター窓口で入手可能)
2.年金手帳
3.世帯全員の住民票
4.医師の診断書
5.受診状況の診断書
6.病歴・就労状況等申立書
7.受取先の金融機関の通帳やキャッシュカード等
8.印鑑
9.請求者本人の所得証明書(20歳前障害の場合)
10.障害者手帳(所持している場合)
上記に加え、子供が障害年金の受給対象者である場合には、
a.戸籍謄本
b.子供の収入表(学生の場合は学生証など)
も必要なので、覚えておこう。
障害厚生年金
障害障害厚生年金の申請に必要な書類は7個ある。
1.障害年金請求書
2.年金手帳
3.医師の診断書
4.世帯全員の住民票
5.受診状況の診断書
6.病歴、就労状況等申立書
7.受取先の金融機関の通帳やキャッシュカード等
上記に加え、子供が障害年金の受給対象者である場合には障害基礎年金と同様
a.戸籍謄本
b.子供の収入表(学生の場合は学生証など)
まとめ
いかがだっただろうか。
今回は、障害年金の等級ごとの受給額と認定基準について執筆をした。
最後に、この記事をまとめたので確認してほしい。
・障害年金の等級は、身体障害者手帳の交付基準とは全く別の基準
・障害基礎年金と障害厚生年金の2種類がある
・障害厚生年金にのみ障害年金3級と障害手当金がある
今後とも身体障害者手帳を持つ当事者として、あらゆるトピックで記事の執筆を試みたい。
是非とも今回の記事があなたの課題を解決するものであったなら嬉しく思う。