この記事では「障害基礎年金」について紹介する。
この記事に辿り着いたということは「障害基礎年金についてよくわからない」という課題を抱えているのではないだろうか。
安心して欲しい。
この後のトピックを見ると、『障害基礎年金』についての疑問や課題が解決しているはずだ。
障害基礎年金とは?
障害基礎年金とは、病気や怪我によって、障害の状態になってしまった時に支給される国民年金の1つだ。
障害基礎年金が支給されるためには、病気や怪我の初診日に国民年金を払っている必要がある。他にもいくつか支給要件(条件)があるので、後々のトピックで説明する。
障害基礎年金は障害厚生年金と同じように障害年金として区分される。
2つの違いについて確認していこう。
障害基礎年金と障害厚生年金の違いを確認
障害基礎年金と障害厚生年金の違いは主に2つある。
1.支給要件(条件)の違い
2.支給金額の違い
それぞれの違いについて確認していこう。
支給要件の違い
障害基礎年金と障害厚生年金では、支給される要件が違う。
細かい要件の違いはあるが、ここでは2つほど紹介したい。
加入保険 | 障害年金等級 | |
障害基礎年金 | 国民年金 | 1級・2級 |
障害厚生年金 | 厚生年金 | 1級・2級・3級 |
上記図の通り、障害基礎年金は初診日の際に国民年金を払っていれば支給されるが、障害厚生年金は厚生年金を初診日の際に支払っている必要がある。
さらに、厚生年金は障害年金等級3級に対しても支給されるが、障害基礎年金は3級への支給はない。
支給金額の違い
障害基礎年金と障害厚生年金では、支給される金額が違う。
障害年金等級 | 年金種類 | 年金額 |
1級 | 基礎年金 | 974,125円 + (子の加算) |
厚生年金 | (報酬比例の年金額)x1.25 +(配偶者の加給年金額) |
|
2級 | 基礎年金 | 779,300円 + (子の加算) |
厚生年金 | (報酬比例の年金額) +(配偶者の加給年金額) |
|
3級 | 基礎年金 | – |
厚生年金 | (報酬比例の年金額) |
障害基礎年金の年金額について、子の加算というのがわかりずらいと思うが、後の章で説明を加えるので、安心して欲しい。
障害基礎年金は支給停止・打ち切りの場合もある
日本年金機構が障害基礎年金の受給者約1000人余りに対し、障害の程度が軽いと判断して支給打ち切りを検討していることが判明した。
参考:朝日新聞
上記は、2018年5月の朝日新聞の記事だ。
症状が軽い場合に障害基礎年金が打ち切られる可能性があり、今後この流れは加速する可能性があるかもしれないので、十分注意が必要だ。
障害基礎年金の支給要件
障害基礎年金の支給要件は主に3つだ。
1.初診日に国民年金に加入していること
2.初診日の前日までに保険料の未納がないこと
3.一定程度以上の障害状態にあること
初診日に国民年金に加入していること
障害基礎年金が支給される条件として、初診日(病気や怪我で最初に医師の診断を受けた日)に国民年金に加入している必要がある。
しかしながら、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、この要件を満たす必要はない。
初診日から1年6ヶ月後を「障害認定日」とし、その翌月から障害基礎年金が支給される。
初診日の前々月までに保険料の未納がないこと
障害基礎年金は初診日に65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がない方にのみ支給される。
さらに、初診日のある月の前々月までの加入期間のうち全体の3分の2以上保険料を納付している必要があり、国民年金の免除や猶予期間があった方は十分に注意して欲しい。
しかしながら、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、この要件を満たす必要はない。
一定程度以上の障害状態にあること
障害基礎年金の支給を受けるためには、国民年金の「障害等級表」で定められた1級・2級にあたる障害である必要がある。
この障害等級は身体障害者手帳の等級とは別物なので気をつけよう。
国民年金の障害等級表に関しては、以下の参考記事を確認して欲しい。
障害基礎年金で貰える金額は?
さて障害基礎年金の支給要件が確認できたところで、この章では実際に障害基礎年金で貰える金額について見ていこう。
障害基礎年金の支給額は上記図の通りだ。
加えて、18歳未満の子供がいる場合には金額が加算されるので、下の図で確認して欲しい。
年間いくら貰えるか確認できたところで、遡及請求(そきゅうせいきゅう)について触れておきたい。
実は、障害基礎年金(障害厚生年金受給者も対象)は障害認定日から現在までを溯って請求することができるのだ。
もし、遡及請求について詳しく知りたい場合はこちらの記事をぜひ読んでほしい(【2019年最新】障害年金の申請方法を障がい者本人が紹介)
障害基礎年金は働いている場合でも貰える?
さて、障害基礎年金で貰える金額は確認できたと思う。
しかしながら、「働いている場合でも障害基礎年金って貰えるの?」と疑問に思う方もいるだろう。
結論から言うと、障害基礎年金には所得制限があり、年間所得に応じて支給額が下がるので、下記の表で確認してほしい。
この表の通り、一人世帯(扶養親族なし)の場合、360万4000円よりも所得が低い場合には、障害年金が全額支給される一方で、所得が462万1000円以上の場合には障害年金の支給はストップする。
また、世帯人数が増えていくと、扶養親族1人つき38万円加算されていく。
もし、所得制限について詳しく知りたい場合はこちらの記事をぜひ読んでほしい(障害年金の所得制限による減額について紹介)
障害基礎年金の申請・更新方法
さて、最後に障害年金を実際に申請するための方法を見ていこう。
障害基礎年金の申請場所
障害基礎年金の申請場所はお近くの年金事務所、または市区町村の年金窓口になる。
基本的には本人が申請をするのが好ましいが、代理人が申請しても大丈夫だ。
障害基礎年金の申請に必要な書類
障害基礎年金の申請に必要な書類は9つある。以下で確認していこう。
1.年金請求書
2.受診状況等証明書
障害基礎年金の申請をするためには初診日を明らかにする必要がある。
そのため、受診状況を確認できる証明書の用意が必要だ。
ただし、診断書作成医療機関と初診病院が同じである場合には提出しなくても良い。
3.診断書
障害認定日による請求の場合、障害認定日以降3ヶ月以内の症状が記載されている診断書が必要になる。
事後重症による請求の場合、年金請求書提出日以前3ヶ月以内の障害の状態が記載されている診断書が必要になる。
ちなみに、複数の障害を抱えている(共同執筆者の黒田を例にすると血液、肢体など)場合、どの障害で障害年金を申請するか、あるいは全ての障害で申請するかは自己判断なのだが、診断書は障害別に分かれており、診断書を主治医に依頼するには1枚あたり自費で5,000円ほどかかるので、覚えておこう。
4.病歴・就労状況等申立書
この申立書は、発症から現在までの日常生活状況や就労状況を記載するものだ。
診断書では伝えきれない日常生活状況を伝えるための重要な書類なので、覚えておこう。
5.年金手帳
郵送で発送する場合には、基礎年金番号が記載されているページのコピーを同封する必要がある。
6.戸籍抄本・住民票
戸籍謄本や住民票は提出日から半年以内でなければならないので注意しよう。
7.銀行口座の通帳・キャッシュカードの写し
8.身体障害者手帳(精神保健福祉手帳・療育手帳)の写し
もし取得していない場合には提出しなくても良い。
9.印鑑(認印)
障害基礎年金の申請から受け取るまで
障害基礎年金を申請してから実際に受け取るまでの流れを説明したい。
主に5段階あるので、見ていこう。
障害基礎年金は更新手続きが必要
障害基礎年金には申請したら一生支給され続ける永久認定と支給の期限が決まっている有期認定(1年~5年毎に更新)がある。
有限認定を受けた場合には、障害基礎年金の更新手続きが必要となるのだ。
有期認定の障害基礎年金、更新手続きは更新月の前月末頃に日本年金機構から更新用の書類が届くので、対応する必要がある。
まとめ
いかがだっただろうか。
今回は、障害基礎年金について執筆をした。
実際、障害基礎年金の申請は結構複雑だ。
もし、申請に手こずるようであれば、社労士に相談するのも方法の1つだろう。
今後とも身体障害者手帳を持つ当事者として、あらゆるトピックで記事の執筆を試みたい。
是非とも今回の記事があなたの課題を解決するものであったなら嬉しく思う。