僕は日々身体障害者1級当事者(肝臓機能障害)として生活を送る中で、自分と同じような障害を持った仲間と触れ合う機会がある。
身体障害と言っても種類は色々。症状の程度や障害の種類によって、日常に抱く課題感は全く違うのだ。
そこで僕は、それぞれに抱く”課題感の正体“をあぶり出し、情報という手段で課題の解決を目指したいと思っている。
そこで今回、身体障害を持つ友人にリサーチしたところ「肝臓機能障害を未然に防ぐ方法が知りたかった」「肝臓機能障害を患ってしまった時の対処法を広めたい」という声があり、課題感を感じた。
加えて、僕自身肝臓機能の障害を患っており、15歳の時には生体肝移植を受けた過去がある。
肝臓機能の障害を患ってしまうと、病気と向き合うのがものすごく大変だ。
そのため、「肝臓機能の病気を未然に防いで欲しい」との想いを強く抱いている。
そういった経緯や想いから、今回は肝臓機能障害についてわかりやすく説明させて欲しい。
長くなりますが、どうぞ宜しくお願い致します。
もくじ
まずは肝臓の役割を知る
肝臓機能障害を未然に防ぐためには肝臓の役割の重要性を知ることが必須だ。
そこで今回は、肝臓機能重要性を紹介したい。
肝臓機能の重要性を知ることで、肝臓機能障害を未然に防ぐ意識を持つことに繋がると考えている。
主な肝臓の3つの役割
代謝機能
肝臓にはエネルギーを作る機能がある。
摂取した食べ物は最初に胃袋で消化される。その後、肝臓へと渡り栄養素へ。栄養素を分解しながらそれらがエネルギーとして作り出される。
もし肝臓に疾患をきたすと栄養素の分解がうまくいかず、体への影響を免れないのだ。
解毒機能
胃袋から消化された飲食の中には、有害な物質が含まれていることがある。
お酒の飲み過ぎによるアルコールの過度な摂取はその一例だ。
そのような有害な物質を解毒してくれるのも肝臓のひとつの役割なのだ。
胆汁の生成・分泌機能
胆汁(たんじゅう)とは肝臓内で分泌されている液体のことだ。胆汁には脂肪の乳化とタンパク質を分解しやすくする働きがある。
胆汁の働きによって、脂肪が腸から吸収されやすくなる。また、コレステロールを体外に排出する際にも役に立っており、肝臓にとって胆汁の働きは欠かせない機能となっているのだ。
胆汁の流れが悪くなると、血液中にビリルビンという色素が増え、肝臓機能の低下を招く。
その際、黄疸(おうだん)という症状が現れることが多く注意が必要だ。
※)黄疸とは・・・目や身体が黄色くなる症状
肝臓機能障害ってどんな病気?
肝機能障害とは、肝臓の機能が障害されている状態をいいます。多くの場合、血液の肝機能検査で異常値を示している場合に肝機能障害といいます。
肝機能障害の主な原因は、B型・C型肝炎ウイルスによる肝炎や、アルコールの長期摂取によるアルコール性肝障害、薬剤の服用によって起こる薬物性肝障害、自己免疫の異常による自己免疫性肝障害などさまざまです。
肝臓機能障害とは、肝臓の機能がなんらかの障害に犯されている状態のことを指す。
引き起こされる原因は様々で、予防できるものから予防が難しいものまである。
肝臓機能障害の主な種類
それでは、肝臓機能障害にはどのような種類があるのだろうか?
ここでは主な5つの症状を見ていこう。
B型肝炎
B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)の感染によって引き起こる肝臓病だ。
新生児から乳児期、成人期まであらゆる年代で感染を引き起こす可能性があり、症状が悪化すると肝硬変へと発展する怖い病気。
慢性肝炎と急性肝炎
慢性肝炎・急性肝炎はウイルスに感染している人の血液や体液を介することによって引き起こる肝臓病だ。
慢性肝炎の場合、非常に厄介なのは、発症してから自覚するまでに時間がかかることだ。
もし黄疸などの症状が見られた場合は、すぐにお医者さんを受診しよう。
肝硬変
肝臓の病気が進行しつづけると肝硬変へと症状を進展させる。
肝硬変になると初期症状での自覚はほとんど無く、気づいた時には病気が進行してる状態になるので十分に注意が必要だ。
肝不全
肝不全とは、肝臓がする役割が十分に果たせなくなる状態のことを指す。
先ほど、肝臓の機能について紹介したが、これらの機能を十分に働かせられなくなることで新たな病気に発展する危険性もあるので注意が必要だ。
肝臓機能障害の原因は?
肝機能障害の原因にはいろいろ考えられます。アルコールや肥満が原因のこともありますが、肝炎ウイルスが肝機能障害を起こしている可能性もありますので、専門の医師による診察と検査が必要です。
参照:東栄病院 肝臓Q&A
肝臓機能障害の原因は数多くあるが、肝臓機能障害の原因はアルコールや肥満が特に多い。
数多くの原因がある中で重要な項目をチェックしよう。
疲労は肝臓の敵だ
肝臓への疲労蓄積が原因で、肝臓機能障害へと発展する可能性がある。
肝臓へ疲労が溜まってしまうと、有害物質を解毒する役割などの低下を招き、その現象が加速すると肝臓機能障害へと繋がるのです。
肝臓機能障害とストレスの関係
ストレスによる自律神経の乱れは肝臓にも影響を与えます。
日々のストレスによる自律神経の乱れは、肝臓にとって敵だ。
そのため、肝臓に負担をかけずにストレスを取り除くことでストレスによる肝臓機能障害を未然に防ごう。
運動のしすぎは肝臓に悪影響
運動時は、心拍出量が増加したり、体を動かすために必要な骨格筋への血流量が増加します。一方、消化器官の血流は減少します。
そのため、消化器官の1つである肝臓も運動をすると血流が減少します。
過度な運動は、肝臓や他の消化器官への血流減少に繋がる。仮に運動をしすぎた場合は、しっかりと休息を取るようにしよう。
肝臓が悪い時ってどんな自覚症状があるの?
肝臓に何らかの障害を抱えた場合には、余計に疲労を感じたりすることがある。
もし過度に疲労を感じた場合は、肝臓機能障害を疑っても良い状態だ。
しかしながら、肝臓に何らかの痛みを感じた時にはもうすでに病気が進行してる状態である可能性が高い。肝臓が「沈黙の臓器」と呼ばれる所以もここにあるのだ。
痛みによる自覚
身体の腹部右上に位置し、右の肋骨に収まっている場所に肝臓はある。
もし肝臓機能障害に陥っている場合は、この部分を押すと痛みを感じるのだ。
黄疸による自覚
肝臓機能障害が進行すると、肝臓の大切な機能である胆汁の流れが悪くなる。それが原因で、目や体が黄色く変化する症状を黄疸という。
もし、目や体が黄色いと感じたら、すぐにお医者様に相談しよう。
肝臓機能障害を防ぐために日々の生活を改善しよう
肝臓機能障害の原因は日々の生活習慣に起因する。
アルコールの飲み過ぎや、暴飲暴食。過度な運動やストレスを抱えすぎてはよくない。
そのような生活を続けていると、肝臓機能障害へと発展してしてしまう。
肝臓機能障害を未然に防ぐためにも、日々の生活改善を心がけましょう。
食生活を改善する
まずは暴飲暴食や過度なアルコール摂取を控えることから始めたい。1日3食、食事のリズムを整えることで、肝臓への負担を軽減することができるのだ。
カロリーや塩分の取りすぎには注意し、たんぱく質や野菜などをバランス良く摂取しよう。
ストレス解消法を身につける
日々のストレスによる自律神経の乱れは、肝臓にとって敵だ。
そのため、日々のストレスの解消がとても重要となる。
ちなみに僕の場合は肝臓に負担のかかる運動は避け、ベッドの上で映画やビデオを鑑賞することでストレスを解消している。
ぜひあなたにも自分に合うストレス解消法を身につけて欲しいと思う。
肝臓機能障害になってしまった時の対処法は?
これまでに、肝臓機能障害を未然に防ぐための方法を紹介した。肝臓機能障害を未然に防ぐことはとても重要なことだ。
しかしながら、どんなに気をつけていても肝臓機能障害を患ってしまう可能性がある。
そこで、もし肝臓機能障害を患ってしまったらどうすれば良いのだろうか。
肝臓は「沈黙の臓器」
肝臓機能障害の症状が自覚できるまで進行してしまったら、症状はかなり進行していると思って良い。
肝臓機能障害が悪化した場合初期段階ではほとんど自覚は無い。それこそが「沈黙の臓器」と言われる所以なのだ。
もし肝臓機能障害の症状が自覚できるまでに進行してしまった場合は、お近くのお医者様をすぐに受診しよう。
肝臓機能障害の認定基準と等級表
先ほども紹介しましたが、どんなに気をつけていても肝臓機能障害を発症してしまう可能性はある。
そんな時には身体障害者手帳の取得を検討するのも1つの手だろう。
肝臓機能障害の症状が一定の基準値を超えることで、身体障害者であるという認定され、身体障害者手帳の取得が可能となる。
身体障害認定基準とは
障害認定とは”対象者が身体障害者である“ということを定めたものだ。
身体障害の認定基準は都道府県によって様々。
今回は、東京都の例をわかりすく噛み砕いて紹介したい。
第1条(目的)
身体障害者の障害程度の認定は、「身体障害者福祉法」「身体障害者福祉法施行令」「身体障害者福祉法施行規則」「東京都身体障害者手帳に関する規則」に定めることが基準となる。
第2条(障害の定義)
障害の程度が変わっても「障害」とみなす。
第3条(乳幼児の障害認定)
乳幼児に関わる障害の認定は満3歳行こうにおこなう。(一部例外あり)
しかしながら、3歳未満であっても四肢の欠損等身体機能の障害が明らかな場合は、障害認定をおこなう。
第4条(加齢現象及び意識障害を伴う身体障害)
加齢現象および意識障害を伴う身体障害の認定は、日常生活能力の回復の可能性又は身体障害の程度に着目し障害認定を行うこととする。
第5条(知的障害をもつ者の身体障害)
身体障害の判定は、知的障害の有無に関わらず法の対象として扱う。しかしながら、明らかに身体障害が知的障害によるものである場合は、身体障害とは認定しない。
第6条(7級の障害及び重複障害)
7級のみでは法の対象とはならないが、7級の障害が2つ以上ある場合は法の対象となる。
第7条
障害が重複する場合、障害者等級を以下のように認定する。
※)障害等級に関してはこちらの記事で詳しく紹介しております。
1)2つ以上の障害が重複する場合、重複する障害の合計指数に応じて算出する
合計指数 | 認定等級 |
18以上
11〜17 7〜10 4〜6 2〜3 1 |
1級
2級 3級 4級 5級 6級 |
2)合計指数の算出方法は各々の該当する障害等級の合計したものとする
指数 | 障害等級 |
18
11 7 4 2 1 0.5 |
1級
2級 3級 4級 5級 6級 7級 |
※)合計指数の算出には例外が含まれるので、こちらの記事を参照ください。
第8条
障害種類別の身体障害認定基準は「障害程度等級表」の通りとする。
※)障害程度等級表はわかりやすくこちらの記事で紹介しております。(準備中)
第9条
身体障害の再認定を必要とする者は、再認定が必要とされる疾患や症状に該当する者とする。
第10条(再認定のための診査の期日)
再認定を必要とする者は、身体障害者手帳を交付されてから1年以上5年未満に再認定を受ける必要がある。
以上、上記10ケ条のいずれかに値する人が身体障害者として認定される。
※)全文はこちら(東京都心身障害者福祉センター参考資料)から参照できます。
肝臓機能障害の認定基準と等級表
級別 | 肝臓機能障害 |
1級 | 肝臓の機能の障害により日常生活活動がほとんど不可能なもの |
2級 | 肝臓の機能の障害により日常生活活動が極度に制限されるもの |
3級 | 肝臓の機能の障害により日常生活活動が著しく制限されるもの(社会での日常生活活動が著しく制限されるものを除く) |
4級 | 肝臓の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの |
身体障害者手帳を取得する
さて、これまでは肝臓機能障害の認定基準について確認してきた。
理解の助けになっただろうか?
身体障害認定を得ることができたら、次に身体障害者手帳を取得することになる。
それでは、見ていこう。
※)身体障害者手帳の取得は強制では無く、任意です。
身体障害者手帳とは
身体障害者福祉法に定める身体上の障害がある者に対して、都道府県知 事、指定都市市長又は中核市市長が交付する。
参照:厚生労働省資料
身体障害者手帳とは、都道府県ごとに発行される障害があることを証明する手帳のことだ。
身体障害者手帳を利用することで、様々なサービスや割引・助成手当を受けることができる。
手帳を利用して受けることのできるサービスは多岐に渡り、それぞれの身体障害等級によって、取得できる身体障害者手帳の種類が変わる。
身体障害者手帳の申請・更新・再交付の方法は?
身体障害者手帳の取得はあくまで任意だ。
ですので、自発的に取得しようと思わなければ手に入らない。
身体障害者手帳を申請し発行するには、近くの役所で手続きをする必要がある。
手続きには必要な書類等があり、なかなか困難を極める。
そこで、少しでも楽に身体障害者手帳の申請・更新・再交付が行えるように、こちらの記事を執筆しました。どうぞ参考にして欲しい。
肝臓機能障害についてのまとめ
いかがだっただろうか?
今回は肝臓機能障害について”わかりやすく”を心がけ、紹介させて頂いたつもりだ。
今回記事内で紹介したのは、あくまで肝臓機能障害の一部。
もし、この記事でもっと興味を持たれた方は、ぜひ独学や勉強会などででぜひ知識を身につけて欲しい。
「肝臓機能障害を未然に防ぐ方法が知りたかった」そして、「肝臓機能障害を患ってしまった時の対処法を広めたい」という課題を少しでも解決できたなら嬉しく思う。