この記事では『車椅子で就職する方法』について紹介する。
・車椅子だと就職できない?
・車椅子でも出来る仕事ってなに?
・車椅子で就職するにはどこで探せばいいの?
といった疑問を持っている方に読んで頂きたい内容となっている。
僕自身、肢体不自由体幹2級と体幹機能障害2級で両手に松葉杖を使って生活しているが、長い入院生活中に車椅子にはかなりお世話になった。
さらに、僕と同時期に就職活動をしていた友人で、車椅子で就職に成功した友人を知っている。
今回、そんな体験談も踏まえた内容となっているので、ぜひ最後まで読んでほしい。
障害者雇用とは
メイントピックに入る前に、少しだけ障害者雇用について確認したい。
もし「知っているよ」という方であれば、読み飛ばしてもらっても結構だろう。
さて、障害者雇用とは、障害者が自身の障害を苦にせず、能力や特性に応じて働くことができるようにサポートする制度のことだ。
障害者雇用は、「障害者雇用促進法」という法律によって成り立っている制度であり、少しそのあたりを詳しく確認していこう。
障害者雇用促進法とは
「障害者雇用促進法」とは、(中略)職業リハビリテーションの措置等を通じて、障害者の職業の安定を図ることを目的とする法律です。
参考:日本の人事部
障害者雇用促進法とは障害者の職業の安定を図ることを目的として作られた法律だ。
企業は社会的義務として全社員の約2%以上は障害者を採用しなければならない。
資本主義社会では、仕事をする上で業務効率が高いことが重要な評価対象となってしまう場合がある。
しかしながら、障害や病気を抱える人は、それが原因で社会や会社が求める生産性を担保できない可能性がある。(実際に僕自身がそうであるように…。)
そういった資本主義の合理的な考え方から守ってくれるのがこの法律だ。
車椅子で就職する際の注意点
このトピックでは、車椅子で就職する際の注意点について紹介する。
まずはじめに、車椅子だと就職できない?と疑問に思っている方のために言うと車椅子でも就職は出来る。
仕事の探し方については後のトピックで紹介するのでぜひ最後まで見てほしい。
本題に戻るが、まずは職種よりも職場環境に注意して就職活動をしてほしい。
バリアフリー
これについては「言われなくても一番に考えてるよ!」と言われてしまいそうだが、意外と盲点なのが、会社自体はバリアフリーになっていても、最寄駅から会社までのルートがバリアフリーになっていなかったり、雨の日に濡れないルートがなかったり、そこまで考えているだろうか。
会社のバリアフリーについても、多目的トイレがあるか、ドアの開閉が出来るか、スロープがあるか等、求人情報に詳しく書いていない場合には事前に確認してほしい。
自動車通勤
車椅子の方の場合、電車通勤ではなく自動車通勤を希望する方も多いのではないだろうか。
僕と同時期に就職活動していた車椅子の友人も、自動車通勤可能な会社に就職した一人だが、会社によっては駐車場が少し離れた場所にあったりするので、事前にインターネットのマップを使って駐車場から会社までのルートを調べていた。
もし、自動車通勤を希望するなら、車椅子用の駐車スペースの有無や駐車場内もバリアフリーになっているか確認した方が良いだろう。
車椅子でも出来る仕事
さてこのトピックでは、車椅子でも出来る仕事について紹介する。
結論から言うと、デスクワークなら健常者と同じ仕事が出来るのではないだろうかと思っている。
しかしながら、車椅子の方の中には後遺症で手に麻痺があって思うように動かせない方もいることを僕は知っている。
つまり、全ての人が出来るとは言えないが、これから二つ例を紹介するので参考にしてほしい。
事務職
事務職は、データ入力、コピー&スキャン、電話の応対が主な仕事内容になるので車椅子の方でも出来る仕事は多い。
僕自身、事務職の経験があるが、仕事中は基本的には椅子に座っていたので車椅子の方でも出来る仕事だと僕は思う。
しかしながら、僕が働いていた会社ではコピー&スキャンの頻度が非常に多く、デスクからコピー機まで1日に何往復もしたり、書類を数える作業などが多かった。(手に麻痺がある場合は難しい)
もし、事務職を希望するなら、車椅子が十分に移動できる環境か確認した上で、席の配置や業務内容を配慮してもらった方が良いだろう。
在宅ワーク
在宅ワークは、記事の執筆やデータ入力が主な仕事内容で、会社に通勤する必要がなく自宅で仕事ができるので、車椅子の方でも仕事がしやすいだろう。
でも、「在宅ワークってスキルがないと出来ないんじゃない?」と思う方もいるかも知れないが、特別なスキルがなくても出来る仕事は結構多いのだ。
しかしながら、メリットばかりではなく、自制心を働かせるのが難しいデメリットもある。
在宅ワークについて詳しく知りたい方はこちらの記事も是非読んでほしい(障害者が在宅ワークをする際のメリット・デメリット【体験談】)
車椅子で就職するコツ
このトピックでは、車椅子で就職するコツについて紹介する。
車椅子の友人や僕自身の体験談を元にしているので是非参考にしてほしい。
職場環境を考える
最初のトピックでも触れたが、いくらやりたい仕事があったとしても、職場環境が自身に合わなければ長続きしない可能性もある。
事前に、通勤や働いているときのイメージをして無理がないか考えてほしい。
配慮してもらいたいことを明確にする
これは僕自身の体験談なのだが、事務職などのデスクワークでも、物を運ぶ作業や屈んで作業する事もあったので、配慮してほしいことは遠慮せずに言おう。
また、友人の体験談になるのだが、後遺症で指が麻痺していることを最初の面接の時に伝えておらず、最終面接で伝えたところ不採用になってしまったケースもある。
つまり、言わなければ伝わらない事もあるので、仕事に支障が出る事に関しては隠さずに言おう。
車椅子で就職する際の仕事の探し方
このトピックでは、車椅子で就職する際の仕事の探し方について紹介する。
今回は、障害者雇用枠を利用することを前提として紹介する。
1.企業ホームページから応募
2.ハローワークに相談
3.就職エージェントに相談
4.合同面接会に参加
企業ホームページから応募
まずはじめに障害者枠で就職しようと思った場合に思いつくのが企業の障害者雇用枠専門サイトから応募することだろう。
自身の経歴や面接力に自信のある方はこの方法で応募するのが最も良いだろう。
しかしながら、自信の経歴や面接力に自信が無い方はハローワークや就職・転職エージェント、合同説明会へ参加し相談するのが良いだろう。
ハローワークに相談
企業の障害者雇用枠専門サイトからの応募の次に多いのがハローワークでの相談だろう。
もちろん、ハローワークのスタッフは優秀なので、親身になって就職相談に対応をしてくれて、就職先の紹介をしてくれるだろう。
しかしながら、ハローワークに相談する事が必ずしも良いとは限らないので注意が必要だ。
なぜならば、ハローワークの求人は良いものばかりではない。
むしろ、誤解を恐れずに言うと”求人掲載費を出したくない“という広告主が求人を出す場所がハローワークとも言える。(※ もちろん全ての求人がそうではないが、ハローワークは求人掲載費が無料)
そのため、仕事内容や仕事環境にこだわりたい人であれば就職・転職エージェントに相談をした方が良いだろう。
就職・転職エージェントに相談
結論から言うと僕は就職・転職エージェントを利用するのが最も良い方法だと思っている。
基本的に障害者が就職を考える時に相談できる場所は、ハローワークか人材紹介会社(就職・転職エージェント)、あるいは合同面接会の3つだ。
ハローワークか就職・転職エージェント、合同説明会のどれを利用するのかということだが、やはり就職・転職エージェントに相談するのが良いだろう。
先ほども少し触れたが、ハローワークであれば求人掲載費が一切掛からない。
なので、採用にお金をかけたくない企業がハローワークに求人を出す傾向がある。
一方で、人材紹介会社(就職・転職エージェント)経由で採用を考えている企業の場合には、人材紹介料(相場は年収の30%〜35%程度)を払う必要がある。
つまり、お金を掛けてでも障害者を採用したい会社の求人が揃っているのだ。
そのため、就職・転職エージェントの利用は非常に良い手段だといえる。
※ 就職・転職エージェントとは?こちらの記事をチェック!
合同説明会については参加するのも良いかもしれないが、やはりあまりお勧めできない。
その理由を説明しよう。
合同面接会に参加
合同面接会については僕自身が就職活動をしていた時に何度か参加したことがあるが手応えを感じなかった。
理由としては面接の質が悪いこと。
合同面接会は大きな体育館や公民館で行うのだが、何百人も集まってる中で書類選考もなしに流れ作業のように面接(1人あたり5〜10分程度)をするので、当然一人一人をじっくり選考する時間はない。
結局、履歴書だけで判断されて人間性をみてもらえていないんじゃないか?と僕はよく不満を口にしていた。
しかしながら、会場内では面接を受けたい企業のブースに並ぶ慣例になっているので、時間が許す限り何社でも面接を受けられるため面接に慣れる(練習になる)ことができるメリットがあることは言及したい。
おすすめの転職エージェント
先ほどのトピックでも触れたが、僕は転職エージェントを利用するのが最も良い方法だと思っているので、おすすめの転職エージェントを紹介したい。
紹介する前に、少し転職エージェントの役割をまとめると、転職相談者の悩み・課題を聞き、その人に合った転職先を紹介することだ。
ラルゴ高田馬場
まず第1におすすめしたいのがラルゴ高田馬場だ。
ラルゴ高田馬場は、障害者手帳を所持している人の就労をサポートする、専門の就職・転職エージェントが在籍する会社。
そして、ラルゴ高田馬場の特徴・強みとしては、「長期就労」をゴールとして就労をサポートしている点だろう。
実は以前、ラルゴ高田馬場さんへインタビューを敢行したので是非こちらも参考にしてほしい。
参考:「あなたにとって最高の就労を一緒に探しましょう」 ー ラルゴ高田馬場
アットジーピー(atGP)
障害者転職サポート実績業界No.1、国内最大手の障害者専門転職エージェントであるアットジーピーはまず間違いなく信頼できる転職エージェントだ。
運営会社は、東京にオフィスを構える株式会社ゼネラルパートナーズ。
実際に僕自身もゼネラルパートナーズとは縁があり、本社まで訪れた事がある。
その際にも、社員全員が気持ちの良い挨拶をしてくれたのをよく覚えている。
社長自身が「障害者差別」という課題を解決したいと強く願っている一人でもある。それは、会話をしている中でいつも感じていた。
アットジーピー(atGP)を利用すればまず間違いなく親身になってくれるだろう。
dodaチャレンジ
dodaチャレンジは、日本最大級転職エージェント「doda」を運営するPERSOLグループの障害者の転職に特化したサービスだ。
強みとしては、圧倒的求人数だろう。
さらに「doda」で紹介している会社の非公開求人を多く持っているはずなので、より自分に合った企業へ転職しやすくなるはずだ。
ランスタッド(チャレンジド転職支援サービス)
ランスタッドは、世界39ヶ国、国内においても100以上の拠点を持つ転職エージェントだ。
1960年にオランダで創業以来、50年以上にわたり培ったノウハウと信頼で転職を成功に導いてくれるだろう。
全国ネットワークを活かし幅広く求人を紹介しているので、地方に弱いというデメリットを解消してくれるはずだ。
エージェント・サーナ
エージェント・サーナは、障害者の就労支援26年の実績を持つ、株式会社イフが提供する障害者のための職業紹介サービスだ。
強みとしては、高い内定率とスピード感ある対応だろう。
エージェント・サーナを利用した多くの人が面談から二ヶ月以内に内定を得ている。
26年間、真摯に向き合ってきたからこそ得られた経験とノウハウがあるので、充実したサポートが受けれるはずだ。
アビリティスタッフィング
アビリティスタッフィングは、株式会社リクルートのグループ会社の一つで、障害者の転職に特化したサービスだ。
今まで紹介してきた転職エージェントと違う点は、精神障害者の転職に特化していることだろう。
もちろん、身体障害者でも登録することはできるので安心してほしい。
大手企業だからこその手厚いサポートであなたに合った仕事が見つかるはずだ。
まとめ
いかがだっただろうか。
今回は車椅子で就職する方法について紹介した。
最後にもう一度伝えたいことを以下に繰り返して、この記事を締めたい。
・職種も大事だが職場環境を優先
・障害特性にもよるがデスクワークなら健常者と同じ仕事が出来る
・仕事を探す方法はいくつかあるが転職エージェントをおすすめする
最後まで読んでくれたあなたにとって、この記事が役に立つことを願っている。