この記事では「身体障害の認定基準」を紹介する。
僕は日々身体障害者1級当事者として生活を送る中で、同じような身体障害を持った仲間と触れ合う機会がある。
身体障害と言っても種類は色々。症状の程度や障害の種類によって、日常に抱く課題感は全く違うのだ。
そこで僕は、それぞれに抱く”課題感の正体“をあぶり出し、情報という手段で課題の解決を目指したいと思っている。
今回、身体障害を持つ友人にリサーチしたところ「身体障害の認定基準がよくわからない」という課題があることを知った。
実は僕も身体障害認定基準の複雑さが理解できない1人だったため、とても共感できる内容だった。
彼の場合には時期や調子によって症状が変化する。そのため症状の変化に応じて障害の症状や程度が変わるので、身体障害の認定基準を常にウォッチする必要がある。
そこで今回、同じような課題を抱える人へ向けて身体障害の認定基準をわかりやすく解説させて欲しい。
さらには自身の身体障害認定の確認後、身体障害者手帳を申請・取得する手順や身体障害者手帳を持っていることのメリットに触れたいと思う。
それでは、確認していこう。
もくじ
そもそも身体障害者とは
このトピックでは、身体障害者について紹介したい。
まずは身体障害の認定基準を知る前にそもそも身体障害者とはどういう人を指すのかを知って欲しい。
身体障害者とは、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(昭和 35 年法律第 123 号。以下「法」という。)に規定される身体障害者をいう。
原則として身体障害 者手帳の交付を受けている者をいうが、身体障害者手帳の交付を受けていなくて も、指定医又は産業医(内部障害者の場合は指定医に限る。)の診断により確認 されている者も含む。
参照:厚生労働省資料
つまり、身体障害者とは「障害者の雇用の促進等に関する法律」に当てはまる障害を持つ特定の人物を指す。
場合によっては、身体障害者手帳を持っていない者であっても、身体障害者として認められる場合もある。
実際には「身体障害者手帳を持っている人だけが身体障害者だ」と勘違いしてる人が多いように思う。
なので、改めて確認することは非常に重要なことなのだ。
※ もし仮に障害者雇用促進法について知りたい方はこちらの記事(『【体験談】障害者雇用の課題や問題点の本質に迫る』)を確認して欲しい。
身体障害、10つの種類を紹介
このトピックでは身体障害と認定される10つの障害種類について紹介する。
身体障害と認定されている10つの障害種類を全て以下に列挙した。
もしその障害について詳しく知りたい方は、ぜひリンクを貼ったので確認して欲しい。
-
- 視覚障害
- 聴覚・平衡機能、音声機能・言語機能又はそしゃく機能障害
- 肢体不自由
- 心臓機能障害
- じん蔵機能障害
- 呼吸器機能障害
- ぼうこう又は直腸機能障害
- 小腸機能障害
- ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
- 肝臓機能障害
身体障害の認定基準を紹介
さて、このトピックでは身体障害の認定基準を紹介する。
障害認定とは”対象者が身体障害者である、またその障害がどの障害等級に当たるのか“ということを定めたものだ。
身体障害の認定基準は都道府県によって微妙に異なる。
そこで今回は、一例として東京都の障害認定基準を例に紹介したい。
第1条(目的)
身体障害者の障害程度の認定は、「身体障害者福祉法」「身体障害者福祉法施行令」「身体障害者福祉法施行規則」「東京都身体障害者手帳に関する規則」に定めることが基準となる。
第2条(障害の定義)
障害の程度が変わっても「障害」とみなす。
第3条(乳幼児の障害認定)
乳幼児に関わる障害の認定は満3歳行こうにおこなう。(一部例外あり)
しかしながら、3歳未満であっても四肢の欠損等身体機能の障害が明らかな場合は、障害認定をおこなう。
第4条(加齢現象及び意識障害を伴う身体障害)
加齢現象および意識障害を伴う身体障害の認定は、日常生活能力の回復の可能性又は身体障害の程度に着目し障害認定を行うこととする。
第5条(知的障害をもつ者の身体障害)
身体障害の判定は、知的障害の有無に関わらず法の対象として扱う。しかしながら、明らかに身体障害が知的障害によるものである場合は、身体障害とは認定しない。
第6条(7級の障害及び重複障害)
7級のみでは法の対象とはならないが、7級の障害が2つ以上ある場合は法の対象となる。
第7条
障害が重複する場合、障害者等級を以下のように認定する。
※)障害等級に関してはこちらの記事で詳しく紹介しております。
1)2つ以上の障害が重複する場合、重複する障害の合計指数に応じて算出する
合計指数 | 認定等級 |
18以上
11〜17 7〜10 4〜6 2〜3 1 |
1級
2級 3級 4級 5級 6級 |
2)合計指数の算出方法は各々の該当する障害等級の合計したものとする
指数 | 障害等級 |
18
11 7 4 2 1 0.5 |
1級
2級 3級 4級 5級 6級 7級 |
※)合計指数の算出には例外が含まれるので、こちらの記事を参照ください。
第8条
障害種類別の身体障害認定基準は「障害程度等級表」の通りとする。
※)障害程度等級表はわかりやすくこちらの記事で紹介しております。(準備中)
第9条
身体障害の再認定を必要とする者は、再認定が必要とされる疾患や症状に該当する者とする
第10条(再認定のための診査の期日)
再認定を必要とする者は、身体障害者手帳を交付されてから1年以上5年未満に再認定を受ける必要がある。
以上、上記10ケ条のいずれかに値する人が身体障害者として認定される。
※)全文はこちら(東京都心身障害者福祉センター参考資料)から参照できます。
身体障害の種類別に認定基準を確認する
身体障害には10つの種類があることは先ほど紹介した。
そこで、「自分の病気や障害の障害認定基準を知りたい」という方のために、障害の種類別に障害認定基準を確認しよう。
- 視覚障害
- 聴覚・平衡機能、音声機能・言語機能又はそしゃく機能障害
- 肢体不自由
- 心臓機能障害
- じん蔵機能障害
- 呼吸器機能障害
- ぼうこう又は直腸機能障害
- 小腸機能障害
- ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
- 肝臓機能障害
障害認定基準は時期によって変わる
身体障害の認定基準は時間と共に変わる。
仮に、現在の症状が身体障害として認定されていなくても、障害の認定基準が変わることで、身体障害と認定される可能性があるので、欠かさずチェックしたい。
※)東京都の場合は心身障害者障害者福祉センターのホームページをご覧ください。
身体障害者手帳を申請・取得する
このトピックでは、身体障害者手帳の申請・取得方法について紹介する。
自身の障害認定を確認できたら、身体障害者手帳を取得することになる人もいるだろう。
そのために手帳の申請・取得方法を紹介したい。
身体障害者手帳とは
身体障害者手帳とは、身体障害者福祉法が定める「身体上に障害がある者」に対して、都道府県知事や指定都市の市長が交付する手帳のことだ。
(※上記写真の手帳は実際に僕が所有している手帳
身体障害者手帳の所持は「身体障害者」としての1つの特徴であり、多くのサービスやメリットを受けることが可能となる。
身体障害者手帳の申請・取得方法
身体障害者手帳の取得はあくまで任意だ。
なので、自発的に取得しようと思わなければ手に入らない。
身体障害者手帳を申請し発行するには、近くの役所で手続きが必要となり、手続きをするために必要な書類等がたくさんある。人によってはなかなか困難を極めるだろう。
まずは下の図を確認してもらいたい。
まず始めに、上記に記載した障害認定基準で身体障害者手帳を取得できるのかを確認した後、障害等級表と照らし合わせて手帳の申請資格を確認する。
次に、市区町村の障害福祉窓口で診断書や交付申請書を取得し、書類を揃える必要がある。
そして最後に書類を提出すれば身体障害者手帳の取得は完了する。
身体障害者手帳の申請や取得を目指す場合、実際にはうまくいかないことが沢山ある。
そんな時はぜひこちらの記事(『【体験談】身体障害者手帳の申請・取得方法を紹介』)を参考にして欲しい。
※ 本当はこの記事内で詳しく説明したいのだが、説明が長くなってしまい良くないのではないかと考えた。なので、別の記事で身体障害者手帳の申請・取得の方法を紹介する。
身体障害者手帳のメリットは?
身体障害者手帳を取得することで得られるメリットは沢山ある。
今回は一例を紹介しよう。
身体障害者手帳、JR新幹線の割引メリット
身体障害者手帳を利用することで新幹線の特急券が割引になる。
例えば、普通料金で東京駅から新大阪へ新幹線を利用して行こうとすると2人で往復57,800円掛かる。
しかしながら、身体障害者手帳を利用すると2人で往復40,280円を支払えば新幹線に乗ることができるのだ。
身体障害者手帳を利用した特急券の購入方法はこちらの記事(『【体験談】JR新幹線の障害者割引を利用した感想』)で紹介している。
身体障害者手帳、USJの割引メリット
障害者手帳を利用することでUSJの入場料が半額になる。
通常の大人入場料は7,300円(2018年10月現在)だが、手帳の障害者割引を利用すると大人3,600円で入場できる。
さらに、並ばずにアトラクションへ乗ることができる「ゲストサポートパス」も手帳を提示することで利用可能だ。
USJの身体障害者手帳メリットについてさらに詳しい情報はこちらの記事(『【体験談】障害者割引でUSJを3倍楽しもう!』)で紹介しているので、ぜひ興味のある方には見て欲しい。
※)上記の記事は身体障害者手帳1級を使っての実体験に基づいていて執筆しております。
もし身体障害者手帳のメリットをもっと知りたい方はこちら(『【体験談】身体障害者手帳のメリットを紹介』)の記事を確認して欲しい。
身体障害、認定基準のまとめ
いかがだっただろうか。
今回は身体障害の認定基準についてわかりやすく紹介したつもりだ。
実際に身体障害認定は複雑で、理解しづらい。
なるべくわかりやすく紹介したつもりではあるが、それでも「わかりづらい」場合には、地方自治体の市区町村、障害福祉窓口や担当医に相談すると良いだろう。
この記事が「身体障害の認定基準がよくわからない」というあなたの課題を少しでも解決できたなら嬉しく思う。
