この記事では『週20時間未満の障害者雇用』が推奨されるようになったことにフォーカスして記事を執筆する。
・週20時間未満の労働を考えているけど、そもそもそんな求人あるの?
といった疑問を持っている方に読んで頂きたい内容となっている。
もくじ
週20時間未満の障害者雇用が推奨される時代へ
「障害者、週20時間未満OK ソフトバンクが雇用」という記事を見て僕は衝撃を受けた。
従来、週20時間の短時間労働は障害者雇用の求人でもほとんど無く、あまり推奨されてこなかった。
もちろん推奨されてこなかった背景には理由はあり、それは後のトピックで記述する。
しかしながら、ソフトバンクでは2016年から「ショートタイムワーク制度」を導入しており、何人もの障害者が週20時間で働いている。
2017年には「ショートタイムワーク制度」の取り組みが認められ、「グッドデザイン特別賞」を受賞するに至っている。
ここで少し「ショートタイムワーク制度」で働くソフトバンク社員の声を引用したい。
私は心の浮き沈みがあり、日によって生活が制限されるので長時間働けるか不安でしたが、ショートタイムワーク制度ならば、自分の障がいと付き合って働けると感じ利用を決めました。 仕事を続ける中で、職場の方々との交流が増え日常の対話を積極的に行えるようになりましたし、自分のペースで働けることで不安が減り、短時間であれば、複数日働ける自信が付いてきました。
引用:ソフトバンク「ショートタイムワーク制度」
このように、週20時間勤務は障害者が働く上での強い希望となっているのだ。
障害者雇用とは
さて、このトピックでは障害者雇用について少し確認したい。
もし「知っているよ」という方であれば、読み飛ばしてもらっても結構だろう。
障害者雇用とは、障害者が自身の障害を苦にせず、能力や特性に応じて働くことができるようにサポートする制度のことだ。
障害者雇用は、「障害者雇用促進法」という法律によって成り立っている制度なのだ。少しそのあたりを詳しく確認していこう。
障害者雇用促進法とは
「障害者雇用促進法」とは、(中略)職業リハビリテーションの措置等を通じて、障害者の職業の安定を図ることを目的とする法律です。
参考:日本の人事部
障害者雇用促進法とは障害者の職業の安定を図ることを目的として作られた法律だ。
企業は社会的義務として全社員の約2%以上は障害者を採用しなければならない。
資本主義社会では、仕事をする上で業務効率が高いことが重要な評価対象となってしまう場合がある。
しかしながら、障害や病気を抱える人は、それが原因で社会や会社が求める生産性を担保できない可能性がある。(実際に僕自身がそうであるように…。)
そういった資本主義の合理的な考え方から守ってくれるのがこの法律だ。
週30時間以上の障害者雇用との違い
さて、このトピックでは週20時間での障害者雇用と週30時間以上の障害者雇用との違いについて紹介したい。
「ぶっちゃけ、時間が短いだけで違いなんてあるの?」と思われる方もいるだろう。
結論から言うと、法定雇用率において週30時間以上働くパターンの障害者雇用の方が企業にとって有利なのだ。
これだけでは、よくわからないと思うのでもう少し詳しく説明しよう。
法定雇用率とは
あなたは「法定雇用率」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。
もしかすると、成人に達した人であれば一度は耳にする機会があったかもしれない。
法定雇用率とは、従業員を50人以上抱えた企業が最低x%の障害者を雇わなければならないという制度のことだ。
詳しくは、下の図を確認して欲しい。
このように、一般企業の場合は従業員50人以上に対して2.2%、地方公共団体の場合は2.5%、都道府県の教育委員会の場合は2.4%の障害者を雇う義務があるのだ。
もし従業員が50人以上いるにも関わらず、規定値の障害者を雇用していない場合には、国から罰金が課されることになる。
一方で法定雇用率を上回って障害者を雇用している場合には、納付金が企業に支払われる仕組みだ。
このような制度の下で障害者の雇用が守られているのだ。
労働時間の違いは障害者のカウント数に影響する
障害者雇用率をカウントする際に「常用雇用労働者」「短時間労働者」という重要な2つの考えた方がある。
つまり、働いた時間に応じてカウント数が変わるのだ。
詳しくは下の表を確認して欲しい。
常用雇用労働者 (週30時間以上の勤務) |
短時間労働者 (週20時間以上、30時間以下の勤務) |
|
身体障害者 | 1 | 0.5 |
重度の身体障害者 | 2 | 1 |
知的障害者 | 1 | 0.5 |
重度の知的障害者 | 2 | 1 |
精神障害者 | 1 | 0.5 |
つまり、常用雇用労働者の場合には障害者1人分としてカウントされ、短時間労働者の場合には0.5人分としてカウントされるのだ。
そのため、企業としてはなるべく長時間働いてくれる障害者を優遇してきたという背景がある。
精神障害者の雇用義務化について
このトピックでは、短期労働者が多い精神障害者のために障害者雇用促進法が改正されたので精神障害者の雇用義務化について紹介したい。
精神障害者も対象に
実はこれまでの法令上、障害者雇用の義務があるのは身体障害者と知的障害者だけだったのだ。
しかしながら、平成30年4月1日から精神障害者も対象に加わり、さらには障害者のカウント数にも特例措置を講じている。
通常は、週20時間以上30時間以下の勤務の場合0.5カウントだが、特例措置の条件に当てはまれば1カウントとして数えるのだ。
特例措置の条件だが、当事者側で覚えておく点は一つ、精神障害者保険福祉手帳取得から3年以内であることが条件だ。
つまり、精神障害者保険福祉手帳取得から3年以内の障害者に対して企業側は積極的に雇用してくれるだろう。
週20時間未満なら働ける精神障害者のための対応を検討中
週20時間未満では雇用率にはカウントできないので企業側としては雇用のメリットがないのが現状だが、週20時間未満なら働ける精神障害者は多い。
これらに対して厚生労働省は、現在対応を検討しているのだ。
まだまだこれからだが、障害者の週20時間未満の求人は増えていく傾向にあるだろう。
週20時間の障害者雇用で働く
さて、この記事を読んで頂いている方の中には「企業側の理屈はわかったけど…。それでも私は週20時間労働で働きたい!」と思われる方もいるだろう。
そんな方のために耳寄りの情報を届けたい。
週20時間の障害者雇用は存在する
以前、障害者雇用に特化した転職サポート事業を展開しているラルゴ高田の馬場へインタビューを敢行した。
その際、「実際、週20時間で働ける障害者雇用の求人ってありますか?」と聞いたところ、「求人数は少ないけど、実績はあるよ」との回答を頂いた。
確かに、2019年現在では短時間で働ける求人は多くないかもしれない。
しかしながら、ソフトバンクのような大企業が週20時間の障害者雇用を推奨していくことで、週20時間未満の障害者雇用が推奨される時代へ変化していくだろうと僕は思っている。
もし「週20時間で働きたい!」と思われる方がいたら、ぜひ短時間で働ける障害者雇用求人を持っている可能性のある転職サポート事業会社へ相談すると良いだろう。
週20時間で働くためのおすすめ転職エージェント
最後に週20時間で働くためのおすすめの転職エージェントを紹介したい。
紹介する前に、少し転職エージェントの役割をまとめると、転職相談者の悩み・課題を聞き、その人に合った転職先を紹介することだ。
ラルゴ高田馬場
まず第1におすすめしたいのがラルゴ高田馬場だ。
ラルゴ高田馬場は、障害者手帳を所持している人の就労をサポートする、専門の就職・転職エージェントが在籍する会社。
そして、ラルゴ高田馬場の特徴・強みとしては、「長期就労」をゴールとして就労をサポートしている点だろう。
前のトピックでも少し触れたが、ラルゴ高田馬場さんへインタビューを敢行したので是非こちらも参考にしてほしい。
参考:「あなたにとって最高の就労を一緒に探しましょう」 ー ラルゴ高田馬場
アットジーピー(atGP)
障害者転職サポート実績業界No.1、国内最大手の障害者専門転職エージェントであるアットジーピーはまず間違いなく信頼できる転職エージェントだ。
運営会社は、東京にオフィスを構える株式会社ゼネラルパートナーズ。
実際に僕自身もゼネラルパートナーズとは縁があり、本社まで訪れた事がある。
その際にも、社員全員が気持ちの良い挨拶をしてくれたのをよく覚えている。
社長自身が「障害者差別」という課題を解決したいと強く願っている一人でもある。それは、会話をしている中でいつも感じていた。
アットジーピー(atGP)を利用すればまず間違いなく親身になってくれるだろう。
dodaチャレンジ
dodaチャレンジは、日本最大級転職エージェント「doda」を運営するPERSOLグループの障害者の転職に特化したサービスだ。
強みとしては、圧倒的求人数だろう。
さらに「doda」で紹介している会社の非公開求人を多く持っているはずなので、より自分に合った企業へ転職しやすくなるはずだ。
ランスタッド(チャレンジド転職支援サービス)
ランスタッドは、世界39ヶ国、国内においても100以上の拠点を持つ転職エージェントだ。
1960年にオランダで創業以来、50年以上にわたり培ったノウハウと信頼で転職を成功に導いてくれるだろう。
全国ネットワークを活かし幅広く求人を紹介しているので、地方に弱いというデメリットを解消してくれるはずだ。
エージェント・サーナ
エージェント・サーナは、障害者の就労支援26年の実績を持つ、株式会社イフが提供する障害者のための職業紹介サービスだ。
強みとしては、高い内定率とスピード感ある対応だろう。
エージェント・サーナを利用した多くの人が面談から二ヶ月以内に内定を得ている。
26年間、真摯に向き合ってきたからこそ得られた経験とノウハウがあるので、充実したサポートが受けれるはずだ。
アビリティスタッフィング
アビリティスタッフィングは、株式会社リクルートのグループ会社の一つで、障害者の転職に特化したサービスだ。
今まで紹介してきた転職エージェントと違う点は、精神障害者の転職に特化していることだろう。
もちろん、身体障害者でも登録することはできるので安心してほしい。
大手企業だからこその手厚いサポートであなたに合った仕事が見つかるはずだ。
まとめ
いかがだっただろうか。
今回は、週20時間未満の障害者雇用が推奨される時代について紹介した。
下記に今回の記事をまとめるので、頭の整理をして、この記事を閉じて欲しい。
・今後、週20時間未満の求人は増える傾向にある
・週30時間以上の障害者雇用との違いは雇用率のカウント数
・精神障害者の雇用義務化によって雇用しやすくなった
週20時間未満の求人を探している人にこの記事が役に立つことを願っている。