気になる世界の障害者雇用の現状ーイタリア編ー

下肢不自由障害。片足不全。義足をつけて生活をする。身体障害者手帳2級を所持。


この記事では『イタリアの障害者雇用』について紹介する。

日本の障害者雇用枠を利用して働いた経験がある僕自身が、世界の障害者雇用について興味を持ったので徹底的に調べてみた。

調べてみると日本とは、障害の定義や障害者雇用政策など、様々な違いがあることに気がついた。

今回の記事を簡単にまとめると

・障害者差別禁止方を採用

・社会的協同組合というアプローチ

・法定雇用率は7%

 

それでは、日本と比較をしながら出来るだけわかりやすく紹介していく。

この記事を読んでわかること

 

イタリアの障害の定義

まずはじめに、日本の障害の定義と比較しながらイタリアの障害の定義について紹介したい。

障害の定義を比較しながら学ぶ事によって、他国と日本の障害者の権利について知る良いきっかけになるだろう。

 

障害の定義(イタリア)

結果的に社会的不利又は周辺化を引き起こす、学習障害、他者との関係作りまたは職場への参加に関して困難を伴った安定型または進行型の身体的、精神的または感覚障害のある者』とされている。

イタリアの定義を僕なりに解釈すると、障害とは学習障害、身体障害、精神障害、感覚障害によって、関係性作りや職場に馴染むことなど、社会生活が困難の人といった感じだろう。

 

障害の定義(日本)

『身体障害、 知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の 障害がある者であって、障害及び社会的障壁(事物、制度、慣行、観念等)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者をいう

日本の定義を僕なりに解釈すると、障害とは身体的、知能的、精神的な機能の低下によって、日常生活や社会生活に支障がある人といった感じになる。

 

日本と比較すると、イタリアでは職場に馴染むことや関係性作りなど、人間関係を重要視しているように僕は思う。

では、なぜ国際的に定義を統一しないのか、その理由は障害を定義することによって起こる谷間の障害の問題があるからだ

つまり、障害の定義から外れてしまった人は支援やサービスを受けられなくなってしまう可能性があるため、各国で定義が異なるのだろう。

※谷間の障害とは:障害の定義や制度によって障害認定されない障害や難病のこと。

イタリアの障害者を守る法律と義務

このトピックではイタリアの障害者を守る法律と義務について紹介する。

他国の法律や義務を知ることによって、その国の障害者に対する考え方や施策が見えてくるだろう。

 

イタリア差別禁止法

この法律の目的は、障害者の市民的、政治的、経済的、社会的権限を平等に得ることだ。

広範囲な差別禁止法として、2006年に法律67号「差別の犠牲者である障害者の法的保護に対する規定(イタリア差別禁止法)」が確立された。

この法律の前に、雇用における障害者差別禁止法が既にあったが、雇用以外の分野に広げたのがイタリア差別禁止法だ。

 

障害者包括法

この法律の目的は、障害者の『完全な統合』や障害者の参加や権利を妨げている状況を改善することだ。

1992年法律104号の「障害者の支援、社会統合及び諸権利に関する包括法(障害者包括法)」により障害者の権利が定められた。

 

一方で、日本では2016年に障害者差別解消法が制定されて、障害者それぞれに合ったやり方で配慮すること、差別をなくすことで、障害者も健常者も共に生きる社会を創ることを目指しているのだ。

 

障害者差別解消法について詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事も読んでほしい『障害者差別解消法とは?障害者本人が解説

イタリアの障害者雇用政策

このトピックではイタリアの障害者雇用政策について紹介する。

世界における障害者雇用政策は、大きく『障害者差別禁止法』と『割当雇用制度』の2つのアプローチに分かれる。

イタリアでは、障害者差別禁止法と割当雇用制度が採用されている

しかしながら、割当雇用制度の規制が緩和なこともあり、雇用率(法定雇用率7%)は達成できていない。

 

障害者差別禁止法

アメリカのADA(障害に基づく差別を全般的に禁止と定める法律(Americans with Disabilities Act))がモデルになっている。

ADAの特徴は、機会均等と待遇の平等、差別禁止、合理的配慮と合理的調整が挙げられる。

具体的には、募集、採用、昇進、解雇、報酬、訓練などの雇用条件で、仕事ができる障害者を障害をゆえに差別することを禁止している。

 

割当(わりあて)雇用制度

法律で雇用率を定めて事業主に義務的な雇用を課す割当雇用制度は、国によって雇用率・納付金制度は様々だが、共通で見られる原則は『障害者雇用は社会の責任・義務である、基金の分配は事業主の連帯責任に基づく、目的は障害者の職業的統合を促進すること』である。

 

日本は割当雇用制度を採用していたが、2016年に障害者差別解消法(障害者差別禁止法)が制定されたことによって、割当雇用制度と障害者差別解消法の2つのアプローチとなった。

世界的にも、この2つからアプローチを試みる国が増えてきているのだ。

 

割当雇用制度(法定雇用率)について詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事も読んでほしい『障害者を雇用する義務、法定雇用率とは?

イタリアの障害者雇用に対するアプローチ

このトピックでは、イタリアの障害者雇用に対するアプローチについて紹介する。

イタリアでは、社会的協同組合というアプローチをしている。

 

社会的協同組合

社会的協同組合は、障害者に限らず地域社会におけるすべての市民の『発達』と『参加』を保障していくことを目的としている。

社会協同組合には2通りあり、発達のために社会福祉、保健、教育サービスを提供する協同組合をA型社会的協同組合という。

参加保障のために就労を目的として農業、製造業、商業およびサービス業などの活動を担うB型社会的協同組合に分かれる。

さらにB型では、社会的に不利な立場の人を30%以上雇用することが義務付けられているのだ。

また、社会的に不利な立場の人の報酬にかかる社会保障等の組合(事業主)負担はゼロとしている。

日本で言うところの障害福祉サービスと就労継続支援を掛け合わせたような制度を障害者以外も利用できるということだ。

※社会的に不利な立場の人:アルコール中毒者、受刑者、元受刑者、身体・精神・感覚障害者、青年者、精神病患者、薬物依存者など

 

障害福祉サービスと就労継続支援について詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひ読んでほしい。
障害福祉サービスとは?
就労継続支援A型とは?【2019年最新】
就労継続支援B型とは?【2019年最新】

イタリアの障害者雇用の現状

このトピックでは、イタリアの障害者雇用の現状について紹介する。

2014年に社会協同組合が記録した総売上高は102億ユーロ(約1兆2千億円)であり、40万人を雇用し、約4万人が社会的に不利な立場の人だ。

また、2011年には42,000人を超える多くのボランティアが働いている。

国の推計によると、2011年の段階で500万人(全人口の8.5%)の人が社会協同組合の提供するサービスを利用している。

さらに興味深いことに、社会協同組合は経済危機が深刻なときほど大きく成長を遂げているのだ。

2008年から2013年にかけて15.1%も雇用を延ばしている。

しかしながら、同時期にイタリア全体では1.2%雇用率が下がっているのが現状だ。

イタリアの障害者雇用まとめ

いかがだっただろうか。

今回はイタリアの障害者雇用について紹介した。

日本とイタリアでは、障害の定義、障害者雇用政策など、多くの違いがあることがわかった。

特に、社会的協同組合については日本だけでなく各国と比較しても新しい取り組みをしている印象を受けた。

今後も、日本だけでなく各国の障害者雇用について執筆していくので、ぜひブックマークもしくはスマホのホーム画面に追加して定期的に確認してもらいたい。

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