気になる世界の障害者雇用の現状ーカナダ編ー

下肢不自由障害。片足不全。義足をつけて生活をする。身体障害者手帳2級を所持。


この記事では『カナダの障害者雇用』について紹介する。

日本の障害者雇用枠を利用して働いた経験がある僕自身が、世界の障害者雇用について興味を持ったので徹底的に調べてみた。

調べてみると日本とは、障害の定義や障害者雇用政策など、様々な違いがあることに気がついた。

今回の記事を簡単にまとめると

・カナダの障害の定義は受けるプログラムによって大きな違いがある

・カナダでは障害者差別禁止法が採用されている。

・雇用衡平法の活用

・訓練と雇用の両方の機会を増大させている

 

それでは、日本と比較をしながら出来るだけわかりやすく紹介していく。

この記事を読んでわかること

 

カナダの障害の定義

まずはじめに、カナダの障害の定義について紹介する。

カナダにおける障害の定義は、受けるプログラムによって大きな違いがある。

障害の定義を比較しながら学ぶ事によって、他国と日本の障害者の権利について知る良いきっかけになるだろう。

 

障害の定義(カナダ)

連邦雇用均等法では、『障害者とは、身体的、精神的、感覚的、精神的、または学習障害が進行中または再発した結果、雇用が難しい人および、将来の雇用主が障害を理由に雇用上不利があると判断される人』と定義している。

この法律では、障害の状態を正式に評価するより自己申告に依存している。

カナダ人権法における障害の定義はより広いアプローチで『形態異常や薬物またはアルコール依存だけでなく、以前の精神的または身体的な障害は如何なるものでも障害者に含まれている』

 

障害の定義(日本)

『身体障害、 知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の 障害がある者であって、障害及び社会的障壁(事物、制度、慣行、 観念等)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者をいう

 

日本の定義を僕なりに解釈すると、障害とは身体的、知能的、精神的な機能の低下によって、日常生活や社会生活に支障がある人といった感じだろう。

アルコール依存なども障害に含むカナダと日本を比較すると、カナダの定義が広いことがわかる。

では、なぜ国際的に定義を統一しないのか、その理由は障害を定義することによって起こる谷間の障害の問題があるからだ

つまり、障害の定義から外れてしまった人は支援やサービスを受けられなくなってしまう可能性があるため、各国で定義が異なるのだろう。

※谷間の障害とは:障害の定義や制度によって障害認定されない障害や難病のこと。

カナダの障害者を守る法律と義務

このトピックではカナダの障害者を守る法律と義務について紹介する。

他国の法律や義務を知ることによって、その国の障害者に対する考え方や施策が見えてくるだろう。

 

カナダ権利自由憲章

カナダ憲法の一部として、カナダ権利自由憲章が制定されている。

カナダ憲法は、カナダの基本的な行動規範を定めた法律であり、カナダ権利自由憲章は、人種、宗教、国籍、民族出自、皮膚の色、性別、年齢、身体および精神障害にかかわらず、平等とみなされることを明確にしている。

 

カナダ人権法

カナダ政府により規制を受ける民間企業に雇用される場合および、これらからサービスを受ける場合に差別からカナダ人を守るものだ。

カナダ人権法では、差別の理由を11カテゴリー(人種、国籍・出自、皮膚の色、宗教、年齢、性別、性的指向、婚姻状況、家族の身分、障害、恩赦または執行猶予の有罪判決)に分けている。

これらの理由による嫌がらせや差別に対して、自身を保護するために人権法に守られる。

 

一方で、日本では2016年に障害者差別解消法が制定されて、障害者それぞれに合ったやり方で配慮すること、差別をなくすことで、障害者も健常者も共に生きる社会を創ることを目指しているのだ。

障害者差別解消法について詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事も読んでほしい『障害者差別解消法とは?障害者本人が解説

カナダの障害者雇用政策

このトピックではカナダの障害者雇用政策について紹介する。

世界における障害者雇用政策は、大きく『障害者差別禁止法』と『割当雇用制度』の2つのアプローチに分かれる。

カナダでは、障害者差別禁止法が採用されている

 

障害者差別禁止法

アメリカのADA(障害に基づく差別を全般的に禁止と定める法律(Americans with Disabilities Act))がモデルになっている。

ADAの特徴は、機会均等と待遇の平等、差別禁止、合理的配慮と合理的調整が挙げられる。

具体的には、募集、採用、昇進、解雇、報酬、訓練などの雇用条件で、仕事ができる障害者を障害をゆえに差別することを禁止している。

 

割当(わりあて)雇用制度

法律で雇用率を定めて事業主に義務的な雇用を課す割当雇用制度は、国によって雇用率・納付金制度は様々だが、共通で見られる原則は『障害者雇用は社会の責任・義務である、目的は障害者の社会への統合を促進すること』である。

 

日本は割当雇用制度を採用していたが、2016年に障害者差別解消法(障害者差別禁止法)が制定されたことによって、割当雇用制度と障害者差別解消法の2つのアプローチとなった。

世界的にも、この2つからアプローチを試みる国が増えてきているのだ。

 

割当雇用制度(法定雇用率)について詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事も読んでほしい『障害者を雇用する義務、法定雇用率とは?

カナダの障害者雇用に対するアプローチ

このトピックでは、カナダの障害者雇用に対するアプローチについて紹介する。

先ほどのトピックで述べた通りカナダでは、障害者差別禁止法が採用されているが、雇用衡平法を実施している。

 

雇用衡平法(1986年制定)

障害者が働きやすい環境を整えるための計画を創り、障害者が立派な働き手として活躍できる事を目的としたものだ。

この法律は、国を代表する大企業およびカナダ政府と契約関係にある企業に適用される。

これらの企業は、障害者が労働力としてどの程度活躍しているかを一定の期間で国に報告しなければならない。

もし障害者が働き手として活躍できていない場合は、十分に労働力を反映するような雇用方針を打ち出さなければならないのだ。

仮にこれらを怠り報告漏れがあった場合、1万カナダドル(約90万円)以下の罰金が課せられる。

 

しかしながら、1万カナダドルという金額は企業レベルであれば決して高くない金額だ。

それを踏まえると、果たしてこの罰金はどれほどの効果をもたらしているのだろうかという疑念を僕は抱かずにはいられない。

カナダの障害者雇用の現状

このトピックでは、カナダの障害者雇用の現状について紹介する。

人権憲章および人権立法という法的なアプローチを行っているが、これは差別撤廃を目的としている一方で、雇用衡平法の活用によって障害者にも雇用の機会を増大させることを目指している

雇用衡平法は、障害者差別禁止法と割当雇用制度の短所を克服する可能性を持っているのだ。

しかしながら、現在のところ対象となる企業がカナダ政府の規制を受ける、あるいは契約関係にある企業に限られており、障害者の雇用拡大への期待度はそれほど高くないのが現状だ。

雇用衡平法が全国的なインパクトを持つには、州レベルへの適用拡大を図る必要があるが、制度上からも相当困難と思われる。

なお、英国ではカナダの雇用衡平法アプローチを参考に、公共部門について障害者の機会均等を法的に義務づけることが検討されているようだ。

カナダの障害者雇用まとめ

いかがだっただろうか。

今回はカナダの障害者雇用について紹介した。

日本とカナダでは、障害の定義、障害者雇用政策など、多くの違いがあることがわかった。

特にカナダの障害の定義が日本よりも広いことが印象に残った。

今後も、日本だけでなく各国の障害者雇用について執筆していくので、ぜひブックマークもしくはスマホのホーム画面に追加して定期的に確認してもらいたい。

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