コラム

気になる世界の障害者雇用の現状ーオーストラリア編ー

この記事では『オーストラリアの障害者雇用』について紹介する。

日本の障害者雇用枠を利用して働いた経験がある僕自身が、世界の障害者雇用について興味を持ったので徹底的に調べてみた。

調べてみると日本とは、制度や支援サービスなど、様々な違いがあることに気がついた。

今回の記事を簡単にまとめると

・オーストラリアでは障害の定義を広く解釈している

・障害者雇用サービスに三年間で1800億円を投じる

・社会福祉の領域から雇用サービスに移行している

障害者雇用は目標値を下回っているが改善傾向にある

 

それでは、日本と比較をしながら出来るだけわかりやすく紹介していく。

※参照した資料は2012年に発行されたもので、現在のデータと異なる可能性もありますのでご了承ください。

オーストラリアの障害の定義

まずはじめに、オーストラリアの障害の定義について紹介する。

オーストラリアにおける障害者差別禁止法では障害の定義を広く解釈している。

『身体障害、知的障害、精神障害、感覚障害、神経障害、あるいは学習障害を包含している、また、体内に一定の病原体(エイズなど)を持っている人への差別も禁止している。』

一方で、日本の障害の定義は、『身体障害、 知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の 障害がある者であって、障害及び社会的障壁(事物、制度、慣行、 観念等)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者をいう。』

国際的に定義を統一しない理由は、障害を定義することによって起こる谷間の障害の問題があるからだ

つまり、障害の定義から外れてしまった人は支援やサービスを受けられなくなってしまう可能性があるため、各国で定義が異なるのだろう。

オーストラリアの法的権利と義務

このトピックではオーストラリアの法的権利と義務について紹介する。

オーストラリアでは、1992 年に障害者差別禁止法(Disability Discrimination Act 1992)が制定されて、雇用や教育の機会均等を掲げている。

雇用については、被雇用者が業務遂行上の必要条件を満たしているにもかかわらず、障害を理由とした採用、昇進、解雇等での差別行為を禁止している。

なお、障害者を雇用する上で、職場環境の調整が極度の負担となる場合は、その調整を行う義務はないとされている。

障害者差別禁止の法律としては先進国の中でも豪州は早い時期に制定している。

連邦政府は2010年3月1日より、障害者の職業訓練や雇用支援、そして雇用主に対する助成等を障害者雇用サービスに一元化し、3年間で17億ドル(約1800億円)を投じた。

オーストラリアの障害者雇用の方向性

このトピックではオーストラリアの障害者雇用の方向性について紹介する。

 

今までの方向性

今までのオーストラリアは、障害のある人達に雇用の機会を拡大することにあまり積極的ではなかった。

雇用の機会を与えると同時に給付を与えるということをしてきたが、障害者を目の届かないところへ置いておこうという気持ちがあった。

しかしながら2008年、調達ガイドラインが変更され、障害者事業所のサービス、考え方が改善されてきている。

 

現在の方向性

障害者の働ける機会が少ない状況である原因として、雇用主が障害を理解していないことがあげられた

改善策として、 障害者サービス提供事業所への政府調達を増やすこと、援助雇用サービスの近代化を進めていくこと、障害者への一時金支援の拡大が求められている。

仕事をしたいけど、仕事がない」状況を改善し、雇用サービスの権利を拡大することが重要な視点であると考えている。

さらに、社会福祉の領域からサービスへの移行へと変わってきている。

オーストラリアの障害者雇用サービス

このトピックでは、オーストラリアの障害者雇用サービスについて紹介する。

オーストラリアの事業所(障害者雇用サービス)は、リハビリテーション的な雇用から生活への満足が得られる就労に向けた支援事業が増えてきている

 

雇用進路プラン

障害者が仕事を継続できるよう雇用後少なくとも 26週間にわたるサポートを約束している。

サポート内容としては、新たな技能、資格の取得、実地訓練の機会、雇用主との問題解決などが含まれる。

また、雇用主に対しても障害者に合った業務の提言、障害者雇用に関する講習会などを提供している。

財政支援では、職場リフォーム、補助器具導入、精神障害者によるパニック症状への対応訓練、聴覚障害への理解を深める講習会、手話通訳利用、障害者給与の一部負担など、各種助成金を用意している。

 

賃金助成制度

障害者雇用サービスでは、障害者雇用の受け入れ側(雇用主)に対しても各種支援を用意している。

雇用主に対して最低週8時間以上の労働、および13週間以上の雇用を条件としているが、障害者雇用の奨励金として最高1500ドル(約16万円)、さらに障害者雇用に要する諸費助成として、最高400ドル(約4万円)を週の給与の補助として支給される。

オーストラリアの障害者雇用の現状

このトピックでは、オーストラリアの障害者雇用の現状について紹介する。

障害の有無を問わず、自分が社会の一員であると実感できる事で喜びを感じ、逆に世間の役に立っていないのではないかとの思いは人を病ませ、時には失意のもとに自傷する者さえ出てくる。

オーストラリアの統計局によれば、自分の人生に満足していると答えた就業者が81%に対し、失業者は58%だという。

また、所得の高さにも満足度は比例している

障害者において、仮に財政的支援が十分に受けられるとしても、単なる保護の対象ではなく、労働を通じてある程度の独立を果たせる事は切なる願いだ。

上記について、このRepeLでも第一に解決すべき問題と捉えて向き合っている。

国連憲章においても障害者の労働する権利として、健常者と同様、自分の意思で選んだ職業で生活し、職場は障害者にとって障害の無い環境であるべきと謳われている。

それでは、実際にオーストラリアにおける障害者雇用の現状を見てみよう。

統計局によれば、国連の2009年の目標値と比較して障害者雇用は目標値を下回っているが、1993年から2009年までの16年間の統計では、障害の重度を問わず全般的に改善傾向にある

労働人口においては、健常者の就労率83%に対し、障害者の就業率は54%であった。

また、2010年発表の障害者国家戦略2010−2020によれば、障害者世帯の33% は年収2万5000ドル未満(約265万円未満)の低得世帯だという。

さらに、世帯内においても障害者の世話をしている者の所得は週390ドルだ。

つまり、障害者本人だけでなく障害者を世話する家族においても、就労が困難な状況にあると推測される。

障害者の雇用支援は、単に障害者自身の為だけでなく、障害者を支える人々への支援としても非常に重要な政策なのだ。

オーストラリアの障害者雇用まとめ

いかがだっただろうか。

今回はオーストラリアの障害者雇用について紹介した。

日本とオーストラリアでは、障害の定義、障害者雇用サービスなど、多くの違いがあることがわかった。

日本と比較すると、オーストリアは障害者だけでなく、障害者を支える周りへの配慮もあるように感じた。

今後も、日本だけでなく各国の障害者雇用について執筆していくので、ぜひブックマークもしくはスマホのホーム画面に追加して定期的に確認してもらいたい。

 

参照資料:『オーストラリアにおける障害者雇用支援コミュニティビジネスについて

ABOUT ME
黒田のぞみ
下肢不自由障害。片足不全。義足をつけて生活をする。身体障害者手帳2級を所持。